SardiniaのLi Lioni

-古代サルデニア料理を標榜するPorto Torresの名店-

　師走の極寒のさなかに松本の「軽食堂みたに」をほぼ10年ぶりに訪れた僕は、そこを流れる凛とした空気に3年前の大晦日に訪れたサルデニアのLi Lioniを思い出した。

　サルデニアから即座に超高級リゾートのコスタ・ズメラルダを思い浮かべるかもしれないが、それは例外的な非日常の場所。本来のサルデニアはおそろしいほど美しい海に囲まれた素朴な島。と、偉そうに言ってみたが、東京のワインレセプションで注目のワイナリーである、デットーリの二代目当主Alessandro Dettori 氏に出会うまでこの島の本当の姿は知らなかった。

(この世のものとは思えぬ美しい海岸。スティンティーノ-Stintino-にて。)

　Porto TorresからSassariに向かって131号線沿いに南下した場所にあるLi Lioniは、デットーリ氏が僕たちに教えてくれた彼のお気に入りのレストランのうちの一軒。

(デットーリのワイナリー。なおPorto Torresにはここ の店があり、主に量り売りのワインを売っている。)

　Li Lioniは古代サルデニア料理の伝承を目的とした一風変わったレストラン。店構えも日本人が想像するイタリアレストランとは大きく異なる。シンプルな内装の店内には凛とした空気が流れている。

　メニューには知らない料理ばかり。日本で培ったイタリアンの知識の枠を超える。

(味の伝道者といった風貌のご主人。食事後にこの店の由来をはなしながらキッチンを案内してくれた。)

(ワインはハウスワインの赤1種類のみ)

(サルデニアといえばペコリーノ。これはチーズのラビオリ。)



(サルデニアで「ニョッキー」と呼ばれているパスタ。日本人が知っているそれとは異なる。なお、乾麺が売られている。)

　驚いたのはエスカルゴ。殻ごとただローストしただけ。シンプルの極み。

　サルデニアは魚介もうまければ、肉もうまい。日本ではあまり知られていないがサルデニアの小羊はEUのPGI指定を受けているブランド畜産物でとても美味しい。この店のメインはサルデニアではポピュラーな仔豚の丸焼き（porchetta)。キッチンの横に丸焼き用の炉があり、そこで焼く。

フィレンンツェのエノテカピンキオーリやウンブリアのCitta dｉ CastelloにあるIl Postale di Marco e Barbara（当ホームページ表紙の写真）で食べた仔豚が芯肉に重きをおいたものであったものに対し、こちらは皮と肉の境目の味を楽しむ。この点は中華の家鴨の丸焼きによく似ている。考えてみたらイタリアンの仔豚の丸焼きを食べるのは銀座のフィレンツェ・サバティーニのオープニングレセプション以来だから、実に２５年ぶり。しかも、薪での丸焼きは初めて。　

(大きな炉。日本の囲炉裏で焼く魚を連想してしまう。)


(クリスピーな皮、しっとりとした肉、ねっとりとした皮と肉の境目。)

デザートはとてもシンプル。

Li Lioni
Localita Li Lioni Porto Torres
    Tel.079502286
info@lilioni.it